カレヤタミエ/京一
ーー頑張ってみよう。この街で。少女の付与は、いつしか誰かの「救い」になるーー「この婚約はなかったことにしてほしい」結婚のため、はるばる王都までやってきたオーレリアは、初対面の婚約者からいきなり婚約破棄を告げられ、その日のうちに王都にひとり放り出されてしまい!?けれど彼女には、前世の記憶と、これまで隠してきた付与魔術の才能があった。宿屋の赤ん坊におむつを作ったことを発端に、遂には女性の「花の時期」にも使われるように。噂が噂を呼び、事態は大きく変化していく。傷つくことを恐れ、いつでも王都から去るつもりだったオーレリア。しかし次第に、周囲に大切な人が増えていってーー。故郷を捨て、何ももたない少女が未来を切り開いていくお仕事ファンタジー、開幕!
本作の本質は、理不尽な拒絶を「真の自立」への糧へと転換させる、静かだが力強い生の肯定にあります。前世の記憶を単なる無双の道具とせず、生活者の切実な願いに寄り添う付与術として昇華させる緻密な描写は、ファンタジーの皮を被った極めて誠実な人間ドラマといえるでしょう。 物語の深層を流れるのは、孤独な覚悟が温かな絆へと溶け出していくまでの繊細な心理的変遷です。おむつや生理用品といった、これまで物語から等閑視されがちだった日常の困難に光を当てるオーレリアの歩みは、利己的な成功譚とは一線を画す、慈愛に満ちた新時代の仕事小説として読む者の胸を熱く焦がします。