吉屋信子
小女小説から家庭小説、歴史小説まで不朽の名作を数多く遺した吉屋信子は、戦後の一時期、憑かれたように怪談風短篇の筆を執った。分身の恐怖と恍惚、霊となって故郷をめざす兵士、老いてなお艶やかな媼の幻影、内なる魔に駆られ数奇な運命をたどる麗人たち...作者みずから「世にも不思議な物語」と呼ぶ異色短篇の数々は、読者をして物語の豊饒に酔わしめるであろう。文庫初収録作品、多数。
吉屋 信子 は、1920年代から1970年代前半にかけて活躍した日本の小説家。初め『花物語』などの少女小説で人気を博し、『地の果まで』で文壇に登場。以後家庭小説の分野で活躍し、キリスト教的な理想主義と清純な感傷性によって女性読者の絶大な支持を獲得。戦後は『徳川の夫人たち』が大奥ブームを呼び、女性史を題材とした歴史物、時代物を書き続けた。同性愛者であったと言われており、50年以上パートナーの千代と共に暮らした。