戦前の少女文化が持つ耽美で瑞々しい空気を、これほどまでに鮮烈に閉じ込めた作品はないでしょう。江川なほみと久松三津枝が体現する、友情を超えた清冽な思慕の情は、時代を超えて観る者の心を揺さぶります。繊細な視線の交錯や、花を介した情緒的な演出が、少女たちの閉鎖的で美しい楽園を見事に描き出しています。
本作の真髄は、言葉にできない感情を映像美に変換する圧倒的な構成力にあります。光と影が織りなすモノクロームの画面からは、移ろいゆく季節の儚さと、純粋無垢な魂が響き合う官能的なまでの静謐さが漂います。観客はただ、そのあまりにも純度の高い情愛の奔流に身を任せることで、映画という芸術が持つ真の魔法を体験することになるはずです。