あらすじ
科学者にして名文家であった寺田寅彦、中谷宇吉郎、湯川秀樹。国語教科書で彼らの文章と出会い、科学への扉を開かれた者は多い。この三人を中心に、岡潔、矢野健太郎、福井謙一、日高敏隆の名随筆を収録する。考えるよろこび、知るたのしさを味わえる「教科書名短篇」シリーズ唯一の随筆集。 文庫オリジナル 【目次】 科学者とあたま他六篇/寺田寅彦 (科学者とあたま/簑虫と蜘蛛/蜂が団子をこしらえる話/茶碗の湯/藤の実/鳶と油揚/とんぼ) 地球の円い話他三篇/中谷宇吉郎 (科学以前の心/地球の円い話/立春の卵/科学の限界) 詩と科学他八篇/湯川秀樹 (詩と科学/原子と人間(詩)/科学と環境/目と手と心/単数と複数/具象以前/創造性の尊重/少数意見/アインシュタイン先生の想い出) 発見の鋭い喜び/岡潔 科学的なものの考え方/矢野健太郎 広く学ぶ心/福井謙一 チョウの飛ぶ道/日高敏隆
ISBN: 9784122071124ASIN: 4122071127
作品考察・見どころ
本書は寺田寅彦や湯川秀樹ら知の巨人が紡いだ「思考の芸術」を凝縮した一冊です。彼らの魅力は、茶碗の湯気や蝶の飛跡に宇宙の真理を見出す、鋭利かつ詩的な感性にあります。科学者の観察眼と文学者の叙情が溶け合う文体は、読者の思考を鮮やかに解きほぐし、当たり前の日常を再発見する喜びを教えてくれます。 論理の極致に達した者がなお大切にする「驚き」の感情。それは未知への敬意であり、知の根源的な躍動です。数式では表しきれない世界の美しさを言葉で掬い取る彼らの営みは、真に知的な生き方とは何かを力強く問いかけます。ページをめくるたび世界の見え方が一変する、知性の煌めきに満ちた至高のアンソロジーです。