本作の真骨頂は、単なる強さのインフレに留まらない「組織論」の深淵にあります。ディアブロによる原初たちの勧誘劇は、絶対的な力を持つ超越者たちが、リムルという特異な指導者のもとでいかにして社会秩序に組み込まれていくかという、知的興奮に満ちた政治劇でもあります。
川上泰樹氏の端麗な筆致は、原初たちの禍々しくも美しい個性を鮮烈に描き出し、伏瀬氏が構築した膨大な世界観に血肉を通わせています。ディーノの訪問が示唆する平穏と危うさの均衡など、物語が国家経営の枠を超え、神話的な領域へと昇華していく瞬間に、読者は抗いがたい高揚感を覚えるはずです。