運命が活字から立ち上がるスリル、それが本作の真骨頂です。ティム・クリングが描く世界では、未来を予言するコミックが道標となり、平凡な人間たちが抗えない宿命の渦へと飲み込まれます。個々の力が交差する瞬間、物語は異能バトルを超え、己の存在意義を問う重厚な人間ドラマへと昇華されるのです。
「チアリーダーを救え」という言葉が、バラバラだった運命を一つに繋ぐ構成は圧巻です。絶望の影として迫るサイラーと、時空を超えて届く希望。読者はページをめくるごとに、現実の裏側にも未知の物語が潜んでいるのではないかという、眩暈のような高揚感を覚えるに違いありません。