坂井朱生
誰かが好きだとか嫌いだとか、そういう感情はよくわからない、と思っていた。苦手な人混みで酔って、柔らかな低い声で冷たい飲物を差し出されるまでは―。中学まで英才教育機関に通っていたせいか、恭一は世間一般とズレがあるらしい。だから癖のある男前に助けられ、怪しいくらい突然に「バイトする気ない?」と誘われても警戒するどころか...。