竹中労
昭和という時代にはいつも美空ひばりの曲が流れていた。その旋律を奏でていた天才歌姫を等身大で描きながら、昭和という時代はどうだったのかを問いかける渾身のドキュメンタリー。 「なぜか人は昭和に別れを告げるように、去ってゆく。美空ひばりが重態であると彼女に親しい筋から知らされたとき私は、おのれの胸の底に暗い穴をあけて吹きぬける、風の音を聞いた」 「五十二歳の早逝を傷みますまい、あなたは正真正銘の菩薩となって、夢の世でもうたいつづけているにちがいありません。間もなくそこへゆく私たちはただ、美しく哀しい歌を有難うと、おのが心に囁くのみです」(本文より)
竹中 労 は、日本のルポライター、アナーキスト、評論家。