三浦暁子氏が綴るのは、世間の偏見を軽やかに拒絶する知的な生活哲学です。不自由さの中に潜む意外な気楽さを、鋭い観察眼とユーモアで描く筆致は圧巻。家族という組織で自己をいかに守り、図太く繊細に生き抜くかという普遍的な知恵が、一編一編に力強く宿っています。
映像化作品の劇的な展開に対し、原作はより内省的で個人の尊厳に根ざしています。テキスト特有の心理描写は、映像で零れ落ちがちな孤独な納得感を補完し、両者に触れることで家庭の在り方が多角的に浮かび上がります。綺麗事ではないホンネが読者の呪縛を解き放つ、清々しい情熱に満ちた名著です。