あらすじ
「なあ、俺は本当に天狗なのか?」滅ぼしの剣・七星を手に天翔丸は自らに問いかける。自分の体に流れる血、その正体はいったい―。自分からすべてを奪った男、陽炎への復讐を胸に修業に励む天翔丸。しかし、人間でありたいと願いながら、復讐のために人ならぬ力を欲するおのれの矛盾に葛藤する。そんな彼の前にあらわれたのは、鞍馬寺の住職、八雲。自在に死霊を操る妖しくも美しいその男は、言葉たくみに天翔丸に近づく。だが、男の笑みには隠しきれない邪悪さがあった...。人の子として生まれながら、天狗として生きねばならない宿命を背負った天翔丸。その戦いを熱く描いた妖怪成長譚、待望の第二弾。
ISBN: 9784829116111ASIN: 4829116110
作品考察・見どころ
本作の真髄は、宿命に抗いながらもその力に依存せざるを得ない若者の「魂の揺らぎ」を鮮烈に描いた点にあります。人間でありたいと願いつつ、復讐のために人ならぬ力を欲する天翔丸の矛盾は、現代に生きる私たちが抱える自己アイデンティティの葛藤とも深く共鳴します。単なる勧善懲悪に留まらない、心の闇を覗き込むような鋭い心理描写こそが本作の文学的な醍醐味と言えるでしょう。 また、新たに現れる八雲という存在が、物語に妖艶で退廃的な深みを与えています。成田良美氏の筆致は、目に見えない妖怪の不気味さよりも、言葉巧みに人の弱みに付け入る人間の邪悪さを克明に描き出しており、読者の背筋を凍らせます。血に縛られた孤独な戦いの果てに彼が見出すのは救済か断罪か。その熱き魂の変遷を、ぜひ全身で体感してください。













































