本書は単なる教育論の枠を超え、言語を通じたアイデンティティの変容を鋭く描く、知的な冒険譚とも言える一冊です。日本と中国の教科書を鏡合わせにする手法は、画一的な英語教育に潜む閉塞感を打破し、複数の言語が共生し響き合う「複言語」という新たな地平を鮮烈に提示しています。
著者の王林鋒氏が紡ぐ緻密な分析は、テキストの背後にある社会の呼吸を浮き彫りにします。単なる記号の羅列ではなく、未知なる他者とどう繋がるかという哲学的な問いが全編に溢れており、教育に携わる者のみならず、言葉を愛する全ての読者の知的好奇心を激しく揺さぶる力作です。