春。
風泰生は横浜の小さな酒場で雅子と出逢った。
我儘も言わない、大人しい女だった。
笑うと寂しそうな顔になる。
男は女を愛し、女も男を愛した。
そして、やがて別れた。
それから時が経ち、風のもとに刑事がやってきた。
雅子が殺されたと言う。
俺にはもう関係ないと言い聞かせるが、風の中から雅子の姿は消えなかった……。
男と女。
それぞれの情念に心が波打つ。
男の叙情と美学が静かに染み入る北方謙三伝説の一冊。
(解説・小椰治宜)
ISBN: 9784758447461ASIN: 4758447462