本作の真髄は、九歳から十歳へと脱皮する少女の瑞々しくも痛切な心の揺れにあります。著者のゼナッティは、子供特有の純粋な正義感を、世界を救おうとする崇高な倫理観として描きました。統計の中の絶望を自らの痛みとして受け止める彼女の感性は、大人が忘れてしまった魂の聖域を映し出しています。
大統領を目指す決意は、世界の不条理を知ることで失われる無垢な時間への決別であり、責任ある人間へと成長する誕生の痛みでもあります。世界をどう愛すべきかを改めて問い直す本作は、現代を生きる全ての人に捧げられた、静かなる革命の書といえるでしょう。