乃南アサ
高校を卒業した未芙由は上京し、親戚の鹿島田家で暮らすようになるが、家族がどうも変なのだ。顔を合わせることもなく、皆、てんでんばらばら。しかし、お互いを嫌悪しているわけではない。ではこの妙な違和感は何なのか?やがて未芙由はその正体に気付く。それは、彼らの平穏な日常を変容させるものだった。―「幸せ」を望むのは罪なのか。物語の最後に残るのは「崩壊」か「誕生」か。直木賞作家が描く、人間の欲と真実。
乃南アサが描く本作の真髄は、弱者が静かに牙を剥く冷徹な生存戦略にあります。食虫植物になぞらえられた少女の変貌は、幸福への執着という人間の業を浮き彫りにし、読者の道徳心を激しく揺さぶります。歪な家庭という温床で、破滅へと向かう人々の深淵が、研ぎ澄まされた筆致で綴られています。 映像版では主人公の無垢さと恐ろしさの対比が鮮烈ですが、原作は彼女の「飢え」をより生理的な生々しさで伝えています。文字による心理描写と映像の緊迫感が共鳴し、読後は「幸せとは何か」という問いが鋭く突き刺さるでしょう。日常の裏側に潜む本性を暴く、至高の心理サスペンスです。
実写化・アニメ化された映画やドラマを観て、原作小説ならではの美しい心理描写や、映像化で新たに加えられた解釈・演出との違いを楽しみましょう。
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