あらすじ
あたらしい朝に乾杯!
26歳で、派遣社員で、婚約破棄されて……。
失意の恵麻に希望の手を差し伸べたのは祥子だった。
〈見守り屋〉見習いの夜勤明け、
ほっと一息つく朝の一杯が
恵麻に一歩踏み出す力をくれる。
大人気『ランチ酒』シリーズの新章!
「見守り屋、やってみない?」
五年付き合った彼氏から突然の婚約破棄を告げられ、恋人と住処をなくした派遣社員の水沢恵麻。さらにコロナ不況で仕事まで失い、失意のどん底に。彼女を救ったのは、便利屋「中野お助け本舗」の亀山と犬森祥子だった。夜から朝まで「見守り屋」の見習いとして働き始めた恵麻に、祥子は仕事終わりの贅沢「朝酒」の喜びを教える。モーニング×黒ビール、生ハム×赤ワイン、焼鯖定食×日本酒……ワケあり客の話を聞き、夜勤明けの「朝酒」に癒されながら、恵麻は新たな一歩を踏み出していく。
ISBN: 9784396636708ASIN: 4396636709
作品考察・見どころ
原田ひ香氏が描く本作は、単なるグルメ小説の枠を超え、人生のどん底から這い上がろうとする魂の再生を瑞々しく描き出しています。夜勤明けの「朝酒」という一見背徳的な響きの中に、自らの足で立ち上がろうとする女性たちの切実な祈りと、静かな肯定が込められています。日常の些細な食の悦びを、生きるための聖なる儀式へと昇華させる筆致は、実に見事というほかありません。 見どころは、孤独を抱える人々の心の揺らぎを、一杯の酒と温かい食卓を通して丁寧に解きほぐしていく描写の深みです。見守り屋という孤独に寄り添う仕事の中で、他者との繋がりに希望を見出し、冷え切った心が潤いを取り戻していく過程は、読む者の魂を温かく震わせます。朝日と共に迎える贅沢な時間は、昨日までの絶望を脱ぎ捨て、明日を鮮やかに塗り替えるための最高に贅沢な特効薬なのです。