あらすじ
侍火消にして府下十傑に数えられる鳥越新之助。新庄の麒麟児と謳われた“ぼろ鳶組”頭取並は、闇に堕ちたのか?豪商一家惨殺及び火付けの下手人として手配された新之助は、一家の娘を人質に逃走を続け、火盗改、江戸の全火消の包囲を次々と打ち破っていく。一方、幕府の命で動きを封じられたぼろ鳶組頭取松永源吾は、仲間のため、己のため、決意を胸に立ち上がる。書下ろし長編時代小説。
ISBN: 9784396345044ASIN: 4396345046
作品考察・見どころ
今村翔吾の筆致が冴え渡る本作は、単なる捕物帖の枠を越え、己の矜持と魂の救済を懸けた凄絶な人間ドラマです。若き才能「麒麟児」として光を放った鳥越新之助の孤独と葛藤を、著者は火消し特有の熱量で描き出します。読み手はページを捲るたびに、心臓を抉るような感情の奔流に呑み込まれるはずです。 特筆すべきは、沈黙を強いられながらも友を信じる松永源吾の不器用な情熱です。組織の論理に抗い、己の正義を貫く姿は、現代社会を生きる我々の胸に痛烈に響きます。理不尽な業火に立ち向かう男たちの生き様は、読む者の魂を激しく揺さぶり、明日への熱き火種を灯してくれることでしょう。