現役医師の南杏子氏が描く本作は、医学部不正入試という冷酷な現実に抗い、気高く生きる女性たちの魂の記録です。解剖実習という生と死の境界で結ばれた五人の絆は、単なる友情を超え、医療の倫理と個の尊厳を問う深遠なドラマへと昇華されています。現場を知る著者ならではの圧倒的なリアリズムが、物語に血の通った説得力を与えています。
一人の人間として命に向き合う彼女たちの姿は、読者の心に強烈な希望を灯します。終盤に明かされる意外な真実が、それまでの苦闘をすべて救い上げる瞬間のカタルシスは筆舌に尽くしがたいものがあります。真摯に道を切り拓く勇気を与えてくれる、今こそ読むべき珠玉の人間ドラマです。