手のひらに乗せられた小さな電子機器の中に生きづらさを伝える言葉が溢れる時代に、インスタに上げる自分の姿に自分自身が息苦しさを感じるような時代に、一般の女性が他者からの評価を直接的に受け取らねばならない時代に、雑誌の力を振り返る作業は何かしら気の晴れるものになるのではないか。かつて女性たちの苦労をいくらか 楽しいものに変えてくれた、暗い夜道みたいな人生で不安を少し和らげてくれた、くさくさした現実を極彩色の夢で色着けてくれたそれは、過去の遺物としてその内容や読まれた背景を 含めて忘却してしまうにはあまりに眩い。
(「序章ーー甘くて残酷な女性ファッション誌の夢」より)