あらすじ
王室づき魔法使いが病気で不在のあいだ、留守番をすることになった本好きの少女チャーメインは、魔法の本のまじないを試してみたせいで、危険な山の魔物と遭遇してしまう。危なく難を逃れたけれど、魔法使いの家でも次々困ったことが起きる。魔法使いの弟子を名乗る少年がころがりこんできたり、かわいい小犬が巨大化したり、怒った青い小人の群れが押しかけてきたり…。魔法の家のドアは、王宮や小人の洞窟、謎の馬屋やプール、果ては過去にまでつながっているらしい。やがて、王宮の図書室で王様の手伝いをはじめたチャーメインは、王国の危機を救うために呼ばれた遠国インガリーの魔女ソフィーと、火の悪魔カルシファーに出会う。意外な姿に変身した魔法使いハウルもあらわれて…?「ハウルの動く城」シリーズ待望の完結編。10代〜。
ISBN: 9784198636142ASIN: 4198636141
作品考察・見どころ
ダイアナ・ウィン・ジョーンズの真骨頂は、混沌とした魔法と生活感の融合にあります。主人公チャーメインの等身大の欠点と、彼女が迷い込む多次元的な空間の歪みは、高潔な英雄譚とは対極にある日常を生き抜く知恵を提示しています。本を愛する少女の成長を通して、予測不能な世界を肯定する筆致は、読者の知的好奇心を心地よく刺激してやみません。 ジブリ映画で愛されるハウル達のその後を味わえるのが本作の醍醐味です。映像版の端正なイメージを鮮やかに裏切る、原作特有の皮肉屋なハウルとソフィーの夫婦漫才のようなやり取りは、活字の中でこそ躍動します。映像が与えた色彩美と、原作のウィットに富んだ心理描写が脳内で溶け合い、シリーズ完結編にふさわしい至福の読書体験を約束してくれるでしょう。