桐野夏生
こんなにいとも簡単に夫と息子を捨てられるとは。会社員の夫と、大学生と高校生の息子たちとともに東京の郊外で暮らす主婦・朋美。日々家庭を支えてきた苦労を理解しようともせず、夫はその場しのぎの言葉ばかり、息子たちは、「キモいおばさん」扱い。46歳の誕生日の席で、朋美を軽んじてきた彼らに対し、ついに反乱をおこす。身勝手でわがままな家族たちとは決別。レストランの席を立って、夫の愛車で高速道路をひた走るーー。家出した妻より、車と女の住所が入ったゴルフバックが気になる夫をよそにかつてない解放感を味わうが、車を失い、ヒッチハイクで出会ったのは、原爆を語り継ぐ老人と青年だった。家族とどう生きるかの孤独と希望を描いて、新聞連載時大反響を呼んだ話題作、ついに文庫化!“家族”という荒野を生きる──。解説・速水健朗
桐野 夏生 は、日本の小説家。石川県金沢市生まれ。
実写化・アニメ化された映画やドラマを観て、原作小説ならではの美しい心理描写や、映像化で新たに加えられた解釈・演出との違いを楽しみましょう。