小池真理子/桐野夏生/江國香織/綿矢りさ/柚木麻子/川上弘美
いまも胸にのこる後悔、運命と信じたはかない恋心、忘れえぬ異国の光景、取り戻したかったあの瞬間の空気。そう、願いがかなうものならばーー。メロディーを耳にしただけで、あの頃の切ない想いを鮮やかに甦らせてくれる永遠の名曲たち。不世出の天才シンガーソングライター、ユーミンのタイトルが、6人の作家によって新たなストーリーへと生まれ変わる。唯一無二のトリビュート小説集。
松任谷由実が描いた情景に、現代文学を牽引する六名の作家が新たな命を吹き込んだ本作は、音楽と文学が魂のレベルで共鳴し合う至高のアンソロジーです。ユーミンの楽曲に潜む孤独や刹那的な美しさが、各作家の鋭利な感性と溶け合い、読者の記憶の底に眠る疼きを鮮烈に呼び覚まします。 後悔や憧憬といった普遍的な感情を、作家たちは独自の文体で深掘りし、旋律の裏側に隠された濃密なドラマを暴き出しています。読後、聴き慣れたあの名曲はかつかつてないほどの色香を帯びて響き始めるはず。音楽と言葉が溶け合うこの贅沢な迷宮へ、ぜひ足を踏み入れてください。
現代の物語における女性たちの孤独と熱情を、これほどまで鮮烈に描き出す書き手は他にいないでしょう。柚木麻子は、ドラマ、ロマンス、そしてミステリーという多岐にわたるジャンルにおいて、人間の内面に潜む繊細な感情の揺れ動きを掬い上げ、観る者の心に深い爪痕を残す希代のストーリーテラーです。彼女のキャリアは、単なるプロットの構築に留まりません。数多くの映像作品の核となる物語を紡いできた彼女の言葉は、常に社会の規範と個人の欲望の間で葛藤する人々への深い慈しみに満ちています。これまで携わってきた膨大な作品群を紐解けば、そこに一貫して流れるのは、日常の裏側に潜む歪みや毒を、極上のエンターテインメントへと昇華させる圧倒的な筆致です。特に女性同士の複雑な連帯や相克を描かせれば右に出る者はなく、その鋭い観察眼は、現代社会の輪郭を鮮やかに浮き彫りにしています。統計的な実績からも明らかな通り、彼女の関わる作品は常に安定したクオリティを維持し、業界内外から絶大な信頼を勝ち得てきました。流行に左右されない普遍的なテーマを扱いながらも、時代の空気を鋭敏に察知するセンスを併せ持つ彼女は、まさに現在の映像文化において欠かすことのできない中核的な存在であり、その物語はこれからも多くの人々の魂を揺さぶり続けるに違いありません。