あらすじ
ISBN: 9784150504304ASIN: 415050430X
1977年、ビリー・ミリガンはオハイオ州で連続レイプ犯として逮捕された。だが本人には全く犯行の記憶がない。精神鑑定の結果、彼の中に複数の別人格が存在し、犯行はそのうちの一人によるものだという驚愕の事実が明らかに…。『アルジャーノンに花束を』で知られる作家キイスが、本人へのインタビューや関係者の証言をもとにビリーの内面の葛藤を克明に描き出し、「多重人格」を一躍世に知らしめた傑作ノンフィクション。
著者のダニエル・キイスは、本作で「人間とは何か」という深淵な問いを投げかけます。単なる犯罪記録に留まらず、不朽の名作で培われた繊細な筆致によって、砕け散った魂を繋ぎ止めようとする壮絶な内面の闘争を、血の通った一人の人間の物語として昇華させている点が本作の文学的真髄です。 本作の魅力は、加害者の裏にある、痛ましくも気高い自己防衛の軌跡にあります。私たちが信じる「一人の人間には一つの心がある」という概念を根底から揺さぶり、過酷な現実を生き抜くために人格を分断せざるを得なかった悲劇と、その先にある再生への渇望が、読者の魂を激しく揺さぶる傑作です。