佐藤卓氏が提示する「ケの美」は、ハレの日の華やかさの対極にある、日常の営みに潜む崇高さを喝破した傑作です。14人のクリエイターが選んだ対象は、平凡ながらも強烈な生命力を宿しています。本書は、見慣れた景色を「異化」し、世界を再発見するための哲学的な視座を私たちに与えてくれるのです。
映像化作品では、光や空気感といった「時間軸」の美しさが補完されています。対して本書は、静止した言葉が読者の内省を深く促す、紙ならではの思索の深みが魅力です。両者を味わうことで、私たちの生活そのものが芸術へと昇華される悦びを体感できるでしょう。