あらすじ
ISBN: 9784101171166ASIN: 4101171165
キャデラックを乗り廻し、最高のハバナの葉巻をくゆらせた“富豪刑事”こと神戸大助が、迷宮入り寸前の五億円強奪事件を、密室殺人事件を、誘拐事件を...次々と解決してゆく。金を湯水のように使って。靴底をすり減らして聞き込みに歩く“刑事もの”の常識を逆転し、この世で万能の金の魔力を巧みに使ったさまざまなトリックを構成。SFの鬼才がまったく新しいミステリーに挑戦した傑作。
筒井康隆がミステリーの定石を嘲笑うかのように描いた本作は、額に汗する刑事像を根底から覆す痛快なアンチ・テーゼです。金こそが最高の捜査ツールであるという不敵な論理は、単なる成金趣味を超え、資本主義への痛烈な皮肉と諧謔に満ちています。合理性の極致として「金の力」がトリックを粉砕する様には、文学的なカタルシスすら漂います。 映像化作品では時代に合わせたスタイリッシュな華やかさが際立ちますが、原作には七〇年代の重厚な空気と著者の冷徹な知性が同居しています。映像版の視覚的な演出と、原作が持つ毒のあるユーモアを往復することで、富が持つ魔力の多面性をより鮮烈に味わうことができるでしょう。

実写化・アニメ化された映画やドラマを観て、原作小説ならではの美しい心理描写や、映像化で新たに加えられた解釈・演出との違いを楽しみましょう。