あらすじ
広島県の尾道に住む高校生・和子は放課後、化学の実験室を掃除中にラベンダーの香りを嗅いだ途端、なぜか気絶してしまう。やがて彼女は目覚めてから、時間の流れを飛び越えてある一日を繰り返して何度も体験するという、不思議な能力を持つようになっていた。そんな和子は転校生である男子の同級生・深町に魅了されるが、和子に起きた異変の原因も実は彼にあって、彼の正体はなんと未来からやって来たタイムトラベラーだった。
作品考察・見どころ
大林宣彦監督が描く本作は、思春期の揺らぎをラベンダーの香りと共に封じ込めた映像詩の極致です。主演・原田知世の透明感あふれる佇まいは、単なる演技を超えて、二度と戻らない少女時代という奇跡をスクリーンに刻みつけました。実験的な特撮手法と尾道の情緒的な風景が混ざり合い、観る者の記憶の奥底に眠るノスタルジーを鮮烈に呼び起こします。
筒井康隆の原作が持つSF的な骨格を活かしつつ、映画は失われる時間の切なさという情緒面を大胆に強調しました。活字で綴られた時間旅行の理屈を、大林監督は光と影の魔術によって忘れがたい追憶の物語へと昇華させています。虚構と現実が溶け合うラストシーンこそ、この作品が時代を超えて永遠の輝きを放ち続ける本質的な理由と言えるでしょう。
映画化された原作や関連書籍を読んで、映像との違いや独自の世界観を楽しみましょう。