あらすじ
女難大敵だ、与一郎!無茶振り続く第五巻
旗印は「正直無双」!女難大敵、腐るな与一郎!
上杉謙信と雌雄を決すべく織田諸将が北陸に集う中、すでに狙いを毛利の中国地方に定める秀吉。弟の秀長を通じ藤堂高虎を播磨に派遣する一方、与一郎が帯びた密命は、於市への無謀な求婚の仲介だった。気乗りしない任務に加え、逆恨みされている侍女の暗躍、於弦の子の処遇ーー馬鹿正直な与一郎の気苦労は絶えない。
やがて、摂津で松永久秀が二度目の謀反を起こす。
堅固な信貴山城を落とすため、与一郎組が配置されたのはたった三百人で急勾配の斜面を攻める搦め手の別働隊。成り行きから思わぬ好機を掴んだ与一郎、ある大役を果たすことができるか!?
徳川方「三河雑兵心得」と対をなす、豊臣方の戦国出世物語。
無茶振り続く第五弾!
【編集担当からのおすすめ情報】
「弓の名手、遠藤与一郎。読む者の心さえ射貫く。新たな合戦絵巻の始まりに、胸躍ること間違いなし!」(今村翔吾さん/作家)
「戦国時代小説には、固くて難しいというイメージを持っていましたが、こんなにおもしろくて笑える作品は初めてです!」(丸善 丸の内本店 玉井佐和さん/書店員)
『足軽仁義』から始まる織田方「三河雑兵心得」と対をなす、
豊臣方の「北近江合戦心得」シリーズ。
これまで以上の、様々なジャンルの困難が待ち受ける今作、
ぜひ与一郎の活躍と成長を見届けていただければ幸いです!
作品考察・見どころ
井原忠政が描く本シリーズの真髄は、歴史を英雄の視点ではなく、泥にまみれた雑兵の視点で捉え直す点にあります。大事件の陰で翻弄される与一郎の生のリアリティが際立ち、戦功への打算と人間関係の機微が滑稽かつ切なく綴られます。読者は気づけば、戦国乱世の地続きに立たされているような強烈な没入感を覚えるはずです。 特筆すべきは、徹底したリアリズムが放つカタルシスです。絶望的な状況からいかにして歴史を動かす好機を掴むか。その泥臭い執念と、武士の矜持を超えた人間の生命力が爆発する瞬間こそ本作の文学的頂点と言えます。一兵卒の意地が時代を塗り替える興奮を、ぜひその魂で味わってください。