足軽仁義
井原忠政
発売日: 双葉社
あらすじ
喧嘩のはずみで人を殺め、村を出奔した18歳の茂兵衛は、松平家康の家来である夏目次郎左衛門の屋敷に奉公することに。だが時悪しく一向一揆が勃発。熱心な一向宗門徒である次郎左衛門は主君に弓引くことを決意する。立身出世どころか謀反人になってしまった新米足軽・茂兵衛の運命やいかに!?
ISBN: 1008001937335
作品考察・見どころ
井原忠政が描く本作の真骨頂は、歴史の激流に翻弄される名もなき民の「生」の震えを、圧倒的な臨場感で活写した点にあります。茂兵衛の視点を通して描かれるのは、華々しい武勲ではなく、泥にまみれ死の恐怖と隣り合わせで足掻く足軽の凄絶な現実です。信仰と忠義の板挟みになる運命は、読む者の胸を熱く焦がします。 戦国という非情な時代に、己の足で立つとはどういうことか。著者は教科書的な歴史観を覆し、血の通った人間ドラマとして乱世を再構築しました。極限状態で無力さを噛み締めつつ泥臭く生き抜く茂兵衛の姿は、現代を生きる私たちの魂を激しく揺さぶる、真の成長譚といえるでしょう。