あだち充氏の不朽の名作「みゆき」第七巻は、単なるラブコメディの枠を越え、青春という季節が孕む残酷さと優しさが極限まで研ぎ澄まされた一冊です。あだち作品特有の「間」の表現は、本作において言葉にできない感情の揺らぎを見事に描き出しており、読者は行間に潜む純度の高い抒情性に魂を揺さぶられることでしょう。
血の繋がらない妹と、同じ名を持つ憧れの女性。二人の「みゆき」の間で揺れる主人公の葛藤は、単なる三角関係ではなく、自己のアイデンティティを模索する通過儀礼そのものです。決定的な言葉を避け、風景や沈黙によって語らせる文学的技巧は、読み返すたびに新たな切なさを生み出し、大人になった私たちの胸に鮮烈な疼きを呼び覚まします。