あらすじ
【第168回直木賞受賞作】
【第13回山田風太郎賞受賞作】
「君は満洲という白紙の地図に、夢を書きこむ」
日本からの密偵に通訳として帯同した細川。
ロシアの鉄道網拡大のために派遣された神父クラスニコフ。
桃源郷の噂に騙されて移住した孫悟空。
地図に描かれた存在しないはずの島を探し、海を渡った須野。
日露戦争前夜、満洲の名もなき都市に呼び寄せられた人々は、
「燃える土」をめぐり殺戮の半世紀を生きる。
広大な白紙の地図を握りしめ、彼らがそこに思い描いた夢とはーー。
【著者紹介】
小川哲 (おがわ・さとし)
1986年千葉県千葉市生まれ。2015年「ユートロニカのこちら側」で第3回ハヤカワSFコンテスト<大賞>を受賞しデビュー。2017年『ゲームの王国』で第38回日本SF大賞、第31回山本周五郎賞を受賞。22年『地図と拳』で第13回山田風太郎賞、翌年同作で第168回直木三十五賞を受賞。同年『君のクイズ』で第76回日本推理作家協会賞長編および連作短編集部門を受賞。その他の著書に『嘘と正典』『君が手にするはずだった黄金について』『スメラミシング』など。
ISBN: 9784087447774ASIN: 4087447774
作品考察・見どころ
満洲という白紙に理想を刻もうとした者たちの、狂気と祈りが交錯する圧倒的な叙事詩です。地図という「秩序」と拳という「暴力」がせめぎ合う極致に、人間存在の本質を突きつけます。小川哲は緻密な知性と情念を融合させ、虚構の都市が立ち上がる瞬間を凄まじい熱量で描き出しました。 物語の核にあるのは、国家という壮大な夢を現実にしようとする人々の飽くなき渇望です。歴史の歯車に抗い、自らの意志を大地に刻印しようとする彼らの姿は、読む者の魂を激しく揺さぶります。世界をどう認識すべきかという根源的な問いを突きつける、まさに言葉で築かれた巨大な建築物といえる傑作です。