綿矢りさが描くのは、言葉にならない微細な意識の揺らぎです。本作は、姉妹や母といった多様な役割を生きる女性たちの内面を、鋭利な感性で鮮やかに切り取っています。日常に潜む違和感や渇望が、洗練された文章によって時に残酷なまでに暴き出される様は、まさに著者の真骨頂といえるでしょう。
人生の深淵を覗き込むような円熟味は、女性の生を繋ぎとめる「リボン」の正体を探る旅でもあります。読み進めるほどに、自らの内側にある名状しがたい感情が肯定されていくような、静かな衝撃と救いに満ちた読書体験があなたを待っています。現代を生きる全ての女性に捧げられた珠玉の短編集です。