鈴木光司
すべてが最恐、すべてが規格外――日本ホラー界の帝王による伝説的短篇集
本作は、水の持つ官能的な不気味さと、都市生活の裂け目に潜む孤独を鮮烈に描き出した傑作です。ページをめくるたびに湿り気を帯びた空気が肌にまとわりつき、単なる恐怖を超えて、都会で懸命に生きる人々の寂寥感に寄り添う文学的な気品に満ちています。 特に、母性を軸に据えた心理描写は圧巻です。日常がじわじわと異界に侵食される過程は、読者の生活をも揺るがすリアリズムを持って迫ります。恐怖の根源にある哀しみを見事に昇華させた、日本ホラーの到達点とも言える名著をぜひ体感してください。
1957(昭和32)年、静岡県浜松市生れ。1990(平成2)年『楽園』で日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞し作家デビュー。1991年に刊行された『リング』が圧倒的に支持され、その続編『らせん』で吉川英治文学新人賞を受賞。二作に続く『ループ』『バースデイ』シリーズの他に『仄暗い水の底から』『生と死の幻想』『家族の絆』『シーズ ザ デイ』『神々のプロムナード』などがある。
実写化・アニメ化された映画やドラマを観て、原作小説ならではの美しい心理描写や、映像化で新たに加えられた解釈・演出との違いを楽しみましょう。