あらすじ
「力が必要だ」--母と自分を虐待し別れたろくでなしの父親に復讐するため、暴力団員を目指す聖。中華料理店でアルバイトをしながら、神戸の金坂組のバッジをもらうチャンスを狙う聖は、組に出入りするサングラスをかけた迫力十分の男に弟子入りを懇願する。だが、男は素姓はそのうちわかると言い残し闇の奥へ消えた……(「聖」)。
組織に生き、事件と隣り合わせの警官たちの生きざま。
「孤狼の血」シリーズの柚月裕子、『スワン』『爆弾』で注目の呉勝浩、「刑事犬養隼人」シリーズの中山七里など、ミステリー界を背負う注目作家たちによる、豪華警察小説アンソロジー!
上級国民 葉真中顕
許されざる者 中山七里
Vに捧げる行進 呉勝浩
クローゼット 深町秋生
見えない刃 下村敦史
シスター・レイ 長浦京
聖(あきら) 柚月裕子
解説 西上心太
ISBN: 9784041140857ASIN: 4041140854
作品考察・見どころ
現代ミステリー界を牽引する名手たちが、警官という生き方の深淵を抉り出す圧巻のアンソロジーです。法と暴力、正義と私欲の境界線上で葛藤する剥き出しの人間像こそが本書の真髄といえます。組織の冷徹さと個人の情熱が衝突する瞬間の火花を、各著者が自身の作家性を極限まで投影して重厚に描き出しています。 柚月裕子が描く「力」への渇望など、各篇が放つ文学的な熱量は読み手の魂を激しく揺さぶります。守るべき正義のために何を切り捨て、何を抱えて生きるのか。泥濘を這いずりながらも己の信念を貫こうとする者たちの孤高の輝きは、真の強さとは何かを我々に問いかける、魂の記録です。