本作の神髄は、宇宙世紀の黄昏時を描く長谷川流の再生の叙事詩にあります。資源が枯渇した混沌の中で、寄せ集めの機体が放つ泥臭くも力強い生命力は、既存のガンダム像を鮮やかに塗り替えます。第9巻では、宿敵との決戦を前にした人間ドラマが臨界点に達し、単なる兵器の応酬を超えた、生きることへの渇望が読者の魂を激しく揺さぶります。
映像版が提示する流麗なアクションに対し、原作はテキストならではの濃密な心理描写と、特有の熱を帯びた台詞回しに真骨頂があります。映像で補完されたスケール感と、紙面から溢れ出すキャラクターの思考が共鳴し合うことで、絶望の淵で未来を選び取る人々の姿がより立体的に完結するのです。メディアを横断して描かれる、この熱き人間讃歌を逃す手はありません。