あらすじ
ISBN: 9784041033159ASIN: 4041033152
うち続く災害に荒廃した平安京では、羅生門に近寄るものもいなくなっていた。その楼上で、生活のすべを失い行き場をなくした下人は、死人の髪の毛を抜く老婆に出くわす。その姿に自分の生き延びる道を見つける...。文壇処女作となった「羅生門」をはじめ、初期の作品を中心に18編を収録。人間の孤独と侘しさを描いた名品の数々は、時代を超えて新鮮な驚きを読者に与え続けている。芥川文学の原点を示す、繊細で濃密な短編集。
芥川龍之介が描くのは、極限状態で剥き出しになる人間の「エゴイズム」や「虚栄」の深淵です。自意識に翻弄される孤独な魂を冷徹に抉り出す筆致は、現代人の傲慢さや弱さをも容赦なく暴き立てます。研ぎ澄まされた文章が織り成す心理の迷宮こそ芥川文学の真骨頂であり、時代を超えて読者を戦慄させる美的装置なのです。 映像版が視覚的な混沌を強調するのに対し、原作の魅力は行間に潜む「思考の静寂」にあります。活字ならではの冷徹な知性が、読者の脳内に凄惨かつ崇高な情景を立ち昇らせます。映像と活字を往還することで、人間の業という出口のない闇がより鮮明に、かつ重層的に迫ってくる圧倒的な文学体験を味わえるはずです。

実写化・アニメ化された映画やドラマを観て、原作小説ならではの美しい心理描写や、映像化で新たに加えられた解釈・演出との違いを楽しみましょう。
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