ルスタム・ハムダモフ監督が放つ本作は、圧倒的様式美が支配する迷宮のごとき映像体験です。白黒のコントラストが冴える画面は一コマ一コマが完成された絵画のようであり、観客を現実から切り離された幻想的な世界へと誘います。俳優陣の抑制されつつも確かな熱量を湛えた演技が、物語の神秘性と格調高さをより一層際立たせています。
真実の不確かさをシュルレアリスム的な演出で描き出す手腕は見事です。重層的な構造は観る者の感性を激しく攪乱し、映画という表現が到達し得る芸術の極北を提示しています。言葉を超えた視覚の奔流に身を任せ、底知れぬ物語の深淵を覗き込む悦楽をぜひ全身で享受してください。