あらすじ
ISBN: 9784041026229ASIN: 4041026229
山深い田舎町に暮らす女子高校生・三葉は、自分が男の子になる夢を見る。見慣れない部屋、見知らぬ友人、目の前に広がるのは東京の街並み。一方、東京で暮らす男子高校生・瀧も、山奥の町で自分が女子高校生になる夢を見る。やがて二人は夢の中で入れ替わっていることに気づくがーー。出会うことのない二人の出逢いから、運命の歯車が動き出す。長編アニメーション『君の名は。』の、新海誠監督みずから執筆した原作小説。

現代アニメーション界において、光と空の詩人と称され、観客の心の最も繊細な場所を揺さぶり続ける稀代の映像作家、それが新海誠です。日本ファルコムでのゲームクリエイター経験を糧に、1999年の短編「彼女と彼女の猫」で産声を上げたそのキャリアは、既存のスタジオシステムに依存しない個の力による静かなる革命でした。一人で作り上げた「ほしのこえ」での衝撃的なプロデビューを経て、彼はコミックス・ウェーブ・フィルムとの歩みの中で、緻密な風景描写と喪失感を抱えた男女の心理を鮮やかに重ね合わせる独自の美学を確立します。叙情的な連作「秒速5センチメートル」や、雨の情景が息を呑むほどに美しい「言の葉の庭」を経て、2016年の「君の名は。」では世界的な社会現象を巻き起こし、日本アニメーションを新たな次元へと押し上げました。これまで25作品に携わり、平均評価7.1という極めて高い水準を維持し続けている事実は、彼が単なるヒットメーカーではなく、一貫して「心の距離」という普遍的なテーマを研ぎ澄ませてきた証左と言えるでしょう。アニメ、ドラマ、ロマンスという得意領域において、彼が描く空の色や降り注ぐ光は、もはや一つの言語として機能しています。「天気の子」や「すずめの戸締まり」で見せた、自然の脅威と個人の願いを衝突させる壮大な物語は、混迷する現代社会において、私たちが失いかけた純粋な祈りを代弁しています。圧倒的な映像美と魂を震わせる叙情性の融合こそが彼の真骨頂であり、これからも世界中をその鮮烈な色彩で染め上げていくに違いありません。