ブラジルの至宝カエターノ・ヴェローゾが綴る本書は、自伝の域を超えた芸術と政治のクロニクルです。伝統を破壊し継承する「トロピカリズモ」の精神が、彼の流麗かつ知的な文体で鮮烈に立ち上がります。音楽という表現を言葉へ置換する際、彼は哲学的な深みと詩的感性を融合させ、読者を南米の熱狂的な精神史へと誘います。
「食人」という思想を軸に、他文化を咀嚼し血肉とする創造の力が熱烈に語られます。独裁政権下での亡命さえも思索の糧とする彼の強靭な知性は、表現者がいかに自由を勝ち取るかという普遍的な問いを投げかけ、読者の魂を激しく揺さぶるでしょう。