桑原水菜
相次ぐ事件に不思議な力を見せるアイザックとジュード。移植コーディネーターだという彼らの正体に不審を抱き始めていた矢先、自分を担当していたヘルマンの死を知り、動揺する奏。騎士のように奏を見守るアイザックだが、時折見せる激情に奏の疑問は募る一方。そんな折、奏の夢へ、金髪に青い瞳をした不思議な少年が現れる。「アドルフ」と名乗るその少年の正体は!?シリーズ第三弾。
桑原水菜が描く「シュバルツ・ヘルツ」シリーズは、生命の倫理と魂の帰属を巡る、極めて峻烈な人間ドラマです。第三弾となる本作では、移植という行為がもたらす「命の連鎖」の裏側に潜む、逃れがたい宿命と狂おしいほどの情念が描かれます。アイザックの騎士道精神に隠された鋭利な激情は、単なる守護を超えた深淵な愛の形を提示し、読者の価値観を根底から揺さぶる文学的熱量に満ちています。 物語の深層では、夢幻に現れる少年アドルフの存在が、過去と現在を繋ぐ迷宮の鍵として機能しています。肉体の記憶と魂の尊厳、その狭間で葛藤する奏の姿は、私たちが抱く「自己」への信頼を問い直す鏡となるでしょう。耽美でありながら残酷なまでに美しく紡がれる言葉の数々は、一度触れれば逃れられない魅惑の糸車となり、あなたの知性を未知の領域へと誘うはずです。
桑原 水菜 は、日本の小説家。千葉県出身。別名義に、多武峰 洸。