火野葦平
大学在学中、陸軍に志願した火野。だが「コミニスト」として要注意人物に。除隊後、小説を棄て沖仲仕労働組合結成に進んでいく彼を待ち受けたものは―。あの長編の戦争小説を描いた、著者の生き方の原点とは?
火野葦平の魂の原点ともいえる本作は、国家の論理と個人の理想、そして肉体労働という剥き出しの現実が交錯する苛烈な記録です。インテリゲンチャの苦悩を超え、泥にまみれた生活者へと脱皮していく変遷に、文学としての血肉が宿っています。 軍隊で異分子と見なされながらも、沖仲仕の組合結成へと突き進む野性的な生命力こそが最大の魅力です。挫折や転向という言葉では括りきれない、生への執着と正義への渇望。後の戦争文学で見せる透徹した眼差しが、この熾烈な青春の中でいかに育まれたかを示す、強靭な人間賛歌です。
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