あらすじ
ISBN: 9784877374723ASIN: 4877374728
森鷗外論攷の集大成
鷗外にとって表現することの意味ー序に代えて
第一部 総 論
一 明治文学史に於ける「めさまし草」の位相
二 鷗外はアイヌの少女・知里幸恵に会ったか
三 「偽(フェイク←ルビ)」と「事実(ファクト←ルビ)」を論じ、『能久親王事蹟』に及ぶ
四 『能久親王事蹟』論 追補
五 鷗外と自然主義
六 旅する鷗外
第二部 ゆかりの人々
一 観潮楼、遺愛の品々
二 樋口一葉と伊勢屋ー生活を支えた本郷菊坂の
三 鷗外と子規・虚子との交流
四 津和野の人・安野光雅ー森鷗外とともに
五 滞独時代の鷗外宛書簡
第三部 元号、謚号、即位式、大嘗祭
一 元号考
二 鷗外の元号、謚号に関する見解
三 践祚・即位式・大嘗祭
第四部 資料編
1 書簡
2 序文ー全集未収録
3 原稿・草稿
4 研究ノート

静謐な佇まいの中に、人間の滑稽さと悲哀を巧みに同居させる山崎一は、日本映画界において代えの利かない日常の体現者である。派手な外連味を排し、徹底して抑制された表現で役に血を通わせるその真摯な姿勢は、銀幕の隅々にまで深いリアリティを浸透させてきた。舞台芸術の研鑽で培われた確固たる技術を礎に、彼は長い年月をかけて、市井の人々が抱える微細な感情の揺れを丁寧に掬い取ってきた。かつては演劇の熱狂の中に身を置きながら、次第にその活動を映像の世界へと広げ、今やあらゆる物語の屋台骨を支える不可欠な存在として確固たる地位を築いている。彼のキャリアを俯瞰すれば、そこには一貫した誠実さと、役を己に引き寄せる深い探究心が見て取れる。主役を際立たせるバイプレイヤーとしての矜持を持ちつつ、観客の記憶に鮮烈に刻まれるのは、彼が演じるキャラクターの背後に流れる、語られざる人生の厚みゆえだろう。長年にわたる静かなる献身は、出演する作品すべての質を底上げし、日本映画全体のスタンダードを静かに押し上げてきた。派手な称号よりも、画面に映るその一瞬の説得力で観る者を納得させる。彼は、表現の深淵を見つめ続ける、真の映画人である。