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堺雅人が見せる、記憶がこぼれ落ちていく男の危うさと、それでも失われない魂の純粋さに心が震えます。彼の繊細な表情の変化が、一瞬一瞬を生きることの尊さを鮮烈に描き出し、それを受け止める薬師丸ひろ子の慈愛に満ちた佇まいは、観る者の孤独を優しく包み込みます。二人の間に流れる空気感こそが、家族の絆という普遍的なテーマに深い説得力を与えているのです。 本作の神髄は、完璧さを求めるのではなく、欠けた部分さえも愛おしむという受容の精神にあります。静謐な光に満ちた演出が、何気ない日常の風景をかけがえのない宝物へと昇華させています。絶望の淵にあっても、明日を信じて微笑むことの強さと美しさを、この作品は静かに、しかし情熱的に語りかけてくる名作といえるでしょう。
監督: 吉田健
脚本: 山元清多
音楽: Yasuhiro Kasamatsu
制作会社: TBS