あらすじ
政治家一族である宇田家の次男・晄司は建築会社を設立したものの倒産し、政治スキャンダルの渦中にいる国会議員の父・清治郎の秘書を務めながら煮え切らない日々を過ごしていた。そんなある日、宇田家の長女・麻由美の幼い娘が誘拐されてしまう。犯人の要求は身代金ではなく、翌日の午後5時までに記者会見を開いて清治郎が犯した「罪」を告白しろというものだった。それは国家を揺るがすほどの罪で、権力に固執する清治郎は口を開こうとしない。晄司は家族の命を救うため、罪に隠された真相を暴くべく立ちあがるが……。
作品考察・見どころ
政治家の家系に渦巻く闇と、権力の正体をえぐる緊迫感が本作の真髄です。中島健人が見せる「覚悟を決めた男」への凄まじい変貌と、圧倒的な威厳を放つ堤真一の対峙は、単なるサスペンスを超えた魂の衝突を描き出しています。画面越しに伝わる緊迫感と、静寂の中に響く言葉の刃が、観る者の倫理観を激しく揺さぶります。
原作小説の重厚な社会派ドラマを、映画版は速度感溢れる極上のエンターテインメントへと昇華させました。緻密な心理描写を、俳優の眼差しや息遣いといった視覚的な熱量に置き換えた演出が秀逸です。活字では捉えきれない、沈黙の瞬間に漂う親子の情愛と憎悪の火花こそ、スクリーンでしか味わえない本作最大の醍醐味です。