井上敏樹という異才がガンダムという神話に挑んだ本作は、ロボット物の枠を超え、人間の醜悪さと美しさを剥き出しにする残酷な文学へと昇華されています。英雄不在の荒野で、過去の遺物となった機体が撒き散らすのは希望ではなく、人々の魂を縛り続ける拭い去れない「業」そのものです。
第四巻では、登場人物たちの歪んだ情念がさらに加速します。千明太郎の暴力的なまでに美しい作画が、井上脚本特有の虚無感と生命の咆哮を見事に具現化しています。神話が死に絶えた後の世界で、なおも己を焼き尽くそうとする者たちの生き様は、読む者の魂を激しく揺さぶるに違いありません。