あらすじ
八朔の日、亥の刻。芝湊町の土蔵に、見知らぬ者の文で呼び出された男たちが、密かに集まってきた。
骨董商の仁吉、役者の銀蔵、寄木細工職人の和太郎、浪人の右近、板前の壱助。文の差出人は果たして誰なのか?
五人が呼び出された真の理由とは?
一方、虚の一味、初谷男吏と榊惣一郎は仕事をしくじり、高尾山から江戸市中に戻ってきた。
めくるめく展開に一瞬も目が離せない。まさかのラストに、驚愕すること間違いなし。
最強の決闘あり、ミステリーあり、人情あり……無敵のエンターテインメント時代小説、熱望の書き下ろし第四弾。
ISBN: 9784758442473ASIN: 4758442479
作品考察・見どころ
今村翔吾が描く本シリーズの真骨頂は、江戸の闇に蠢く人間模様を、冷徹な筆致と熱い情熱で描き切る点にあります。本作は特にミステリーとしての完成度が極めて高く、接点のない五人の男が密室に集う緊迫感は、読者の呼吸を奪うほどの密度を誇ります。個々の男たちが背負う業と、彼らを繋ぐ見えざる糸が手繰り寄せられる過程は、正に圧巻の一言に尽きます。 物語の底流には、過去と対峙する者の覚悟という重厚なテーマが流れています。単なる勧善懲悪に留まらない、人間の割り切れなさを包み込む包容力が、読後の深い余韻を生み出すのです。疾走感あふれる剣戟の裏側で燃える「生」への渇望。衝撃の結末を見届けたとき、あなたは今村文学が放つ圧倒的な熱量に、魂を激しく揺さぶられることでしょう。