夕木春央
一人を犠牲にするかそれとも全員死ぬか 水没を待つばかりの地下建築に閉じ込められた十人。脱出するためには誰かの犠牲が必要になる。そんな時、殺人事件が起き、犯人を脱出の贄にしようとするがまったく手がかりがない。繰り返される犯行。犯人が見つからなかったら、誰が犠牲になるのか。最悪の「トロッコ問題」の解決策は...?
夕木春央が放つ本作は、極限状態の人間を論理というメスで解剖した、ミステリ史に残る衝撃作です。究極の選択を迫るトロッコ問題を核に据え、読者の倫理観を揺さぶります。生存を懸けた犯人探しという残酷な構図が、物語に異常な緊張感を与え、ページを捲る手を止めさせません。 伏線が収束した瞬間に訪れる絶望的なカタルシスは、まさに圧巻。正義や道徳が瓦解し、剥き出しの生が露呈する結末は、読後もしばらく立ち上がれないほどの衝撃を残します。ロジックの美しさと人間心理の闇が融合したこの迷宮を、ぜひその目で見届けてください。
夕木 春央 は、日本の推理作家。