本書は、ジャン=リュック・ゴダールという巨大な神話を解体し、一人の人間としての苦悩と狂熱を浮き彫りにした至高の評伝です。コリン・マッケイブは、単なる事実の羅列を超え、ゴダールの思想が映画という肉体を得るまでのプロセスを、緻密かつ情熱的な筆致で描き出しています。「映画とは何か」という問いに人生を捧げた男の、孤高の魂に触れる濃密なドキュメントがここにあります。
文学的な見所は、時代の寵児でありながら常に自己破壊者であり続けた彼の、矛盾に満ちた内面描写にあります。膨大な資料から編み上げられた言葉は、読者に銀幕の裏側に潜む「真実」の痛みを突きつけます。ページをめくるたび、私たちの視覚体験そのものが更新されていくような、知的興奮に満ちた読書体験を約束してくれるでしょう。