あらすじ
昆虫好きの優しい青年は、
人の心の痛みに寄り添う名探偵
日本推理作家協会賞&本格ミステリ大賞を受賞した
『蝉かえる』に続く、〈魞沢泉〉シリーズ最新作!
昆虫好きの心優しい青年・エリ沢泉(えりさわせん。「エリ」は「魚」偏に「入」)。行く先々で事件に遭遇する彼は、謎を解き明かすとともに、事件関係者の心の痛みに寄り添うのだった……。ハンターたちが狩りをしていた山で起きた、銃撃事件の謎を探る「白が揺れた」。花屋の店主との会話から、一年前に季節外れのポインセチアを欲しがった少女の真意を読み解く「赤の追憶」。ピアニストの遺品から、一枚だけ消えた楽譜の行方を推理する「青い音」など全六編。日本推理作家協会賞&本格ミステリ大賞を受賞した『蝉(せみ)かえる』に続く、〈エリ沢泉〉シリーズ最新作! 著者あとがき=櫻田智也
■目次
「白が揺れた」
「赤の追憶」
「黒いレプリカ」
「青い音」
「黄色い山」
「緑の再会」
ISBN: 9784488029036ASIN: 4488029035
作品考察・見どころ
櫻田智也が描く本シリーズの真髄は、精緻な本格ミステリの骨格と、深淵なる人間愛の融合にあります。昆虫を愛するエリ沢泉の視点は、単なる観察眼ではなく、傷ついた魂の震えを捉える繊細な装置です。本作は六つの物語を通じ、人間の業や祈りを、羽化を待つ蛹のように美しくも残酷な筆致で鮮やかに描き出しています。 微細な生態と人の機微が重なる瞬間、物語は謎解きを超えた文学的感動へと昇華されます。論理の先に浮かび上がる光景はあまりに鮮烈で、読後の景色が塗り替えられるような衝撃を覚えるはずです。孤独な心に寄り添う著者の圧倒的な優しさと情熱を、ぜひその手で確かめてください。