迷宮の門
あらすじ
ISBN: 9784334777579ASIN: 4334777570
交番勤務中の岩城は、新設された特命捜査対策室九係への配置転換を命じられた。九係は、「現行の捜査に対して、疑問=Qを持った事件」について、別の切り口で捜査する。故に、一歩間違えば、即廃止という崖っぷちの部署である。現場に残された折り鶴に着目し、自殺と判断された事件を再捜査すると...。十二年前に起きた母娘心中事件の真相が浮かび上がる!

日本映画界において、揺るぎない品格と野性味を併せ持つ稀有な俳優として君臨し続けたのが渡辺裕之です。端正な顔立ちと鍛え上げられた肉体、そして包容力を感じさせる深い低音の声は、単なる二枚目の枠を超え、観る者に理想の男性像を提示し続けました。彼の歩みは八〇年代の鮮烈なデビューから始まり、肉体を駆使したアクション俳優としての地位を確立すると同時に、特撮作品における重厚な司令官役から、ノワール作品での硬派な役どころまで、驚くべき多面性を見せてきました。キャリアの中盤以降、彼はそのストイックな精神性を演技へと昇華させ、銀髪が似合う円熟した紳士としての魅力を開花させます。多くの出演作を俯瞰すると、彼が演じてきたのは常に何かを守り抜く男であり、その一貫した倫理観と責任感が、作品のトーンを決定づける重要なピースとなっていました。アクションへの飽くなき情熱と、静謐なドラマで見せる繊細な表現力の同居は、彼にしか成し得ない芸術的境地と言えるでしょう。一貫して現場主義を貫き、後進に背中でプロフェッショナリズムを示し続けたその存在感は、今なお邦画史に深い刻印を残しています。銀幕を去った今もなお、彼が体現した凛とした美学は、時代を超えて映画ファンの記憶の中で鮮やかに輝き続けています。