あらすじ
本書は,あらゆる段階の数学の教授・学習に関わった著者による,誕生から大人になるまでの発達を通した数学的思考の枠組みに焦点を当てた書である。
最初に,本書で示す理論の概略を示す。次に,高校までの学校教員用の教材を取り上げながら,形式的・公理的思考に結びつく洞察を体験していく。これは,すべての段階の数学教員に役立ち,学校数学を包括しており,さらにその成果も紹介していく。その後,本書の理論を数学の歴史的発展に位置づける。さらに,大学段階にふさわしい発展教材を紹介し,数学的思考を引き続き体験していく。これは,数学を専門としない人でも可能である。最後に,全体の枠組みと他の理論の枠組みとの関係を振り返る。ある文脈で通用するが別の文脈では通用しなくなる事例を取り上げながら,様々な理論を組み合わせた新しい理論をも示す。また,様々な理論の中でどれがよいかを議論するのではなく,様々な文脈に活用できる理論を検討するとともに,相矛盾する理論が一貫した意味になるためにはどう組み合わせたらよいかも示す。
総じて,様々な背景を持つ読者が,数学の教授・学習における広い理論の枠組みと関係する実際の事例を理解できるよう,簡単な工夫を凝らしながら,基本的な考えを定式化し,数学的思考の発達を捉える枠組み全体を明らかにしていく。その枠組みは,子どもから大人までの人間発達に活用できるだけでなく,歴史上の数学の文化的発展や今後の数学的思考の理論の発展にも活用できるだろう。
数学を教授する立場にある人にはもちろんのこと,数学を学習する人にとっても,どのように数学の理解が進んでいくかに関する示唆を受け取ることによって,大いに有益なものとなるであろう。
ISBN: 9784320111424ASIN: 4320111427