氷室冴子氏が描くこの続編は、高知という聖域を離れ、東京の喧騒の中で自立を模索する青年たちの心の軋みを鮮烈に映し出しています。単なる再会物語に留まらず、自立と依存の間で揺れる十代特有の残酷さと、それでも他者を求めずにはいられない切実な渇望。その境界線をなぞる著者の筆致は、あまりに鋭く、そして慈愛に満ちています。
本作の真髄は、言葉にできない微細な感情に形を与える心理描写の極致にあります。里伽子と拓が織りなす関係性は、初恋の幻想を脱ぎ捨て、より人間臭い愛の形を浮き彫りにします。大人への階段を上る瞬間のひりつくような痛みを追体験させる本作は、読者の魂を激しく震わせる青春文学の到達点と言えるでしょう。